中学の男子塾生の一人について。彼は熱心な生徒である。
いつも勉強ばかりしているのかと、ふと気になって質問してみた。
すると、
土曜は午前中に勉強して、昼の明るいうちはスポーツ。そうして暗くなると、また勉強。そんなスタイルだそうだ。
立ち話の中で素晴らしいと思ったことがあったので少し紹介させていただきたい。
彼は、小学5年生から入塾した。初めから数時間集中して学習していたわけじゃなくて、2時間やるとすぐに帰るようだったという。
「ちょっとでも休んだらお母さんから怒られました」(笑って話す)
「・・一日でも休むようだったら塾行かない方がいい」「やめなさい」
と言われたという。
塾では今、高校の数学を予習している。
解らないときは積極的に質問する。冷静だけど勢いがあり集中している。
将来の職業などが決まっているわけではない。話を聞くと、今の目標は自分の実力をより高めること。
自分のことを、小5の時はこうだった、小6になって、中1でこうなって、と淡々と語る。
中学受験をして、受かったところ落ちたところありますと。それがばねになって、頑張るようになったという。
方程式ができなかったから塾ですごくやった。やっていると、あるときからだんだん調子が良くなってきたと話した。
そんな彼の場合、塾で気に入ったところはどこですかと唐突だけれど尋ねると、
快く返事をもらえた。
一つは、
「教科書がわかりやすい」
とすぐに答えてくれた!(スーパーイーグルでの教科書解説)
次に、
「繰り返しできる」
と言ってくれた。(反復学習)
三つ目に話してくれたことは、
「問題が多い!」
だった。
続けて
「いろんな問題に当たれる」
「その問題は、将来どこかで使えるかもしれない」
と言ってくれたのである。
彼にとって、ただ入試への問題を機械的に処理しているだけでなく、自分の”引き出し”として取り入れようとしていたのだ。
この年齢でこの考え方と言葉には感心させられた。
数学と言えば、
ただ機械的に計算し処理し、速さと点数を競うことが多かった。
そんな中、今は徐々に変化してきている。
身近な問題をとりあげ、興味関心を持つ。広げる。
簡単に解がでることが一番なのではなく、話し合ったり、解決策を順序立てて考えたりしながら処理する問題へ。
「考える」「課程」も大切にしている。
大元は「生きる力の育成」である。
彼は”問題の逆利用”のような・・
いつか使えるときもあるかもしれないという期待を込めた態度で
丁寧に問題にあたっていたのである。
なんとゆとりのあることだろうか。
彼の自分の学習のスタイルができていった背景には、ご両親の厳しくもしっかりした愛情があった。
お母さんとの約束を守り続ける優しさと強さ。
そして以前話してくれた”塾のお蔭”という言葉には
こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいになる。
予習での高2の数学はもうすぐ終わる。
来た時に「消しゴムを忘れました」と言って
帰りの出口で「あ、返すの忘れてました」と立ち話になったが
こちらがありがとうという気持ちになった。
「この調子で頑張ります」
と、笑顔で駐輪場へ出て行く。